チームドクターへの道

RWC2019盛り上がりましたねー!やっぱりこれからはラグビーでしょ!
という事でラグビードクターの仕事をざっと書かせて頂きます。

ラグビードクターへの道

ラグビードクターの仕事って??

ラグビーにおけるドクターの仕事は大きくわけて2つあります。
1つはチームドクター(TD)、もう1つはマッチデードクター(MDD)です。
TDは想像しやすいと思いますが、チームに属して練習・試合における外傷や内科的なことまでチーム内で起こる医療を必要とする全てに対応する仕事です。
仕事は多岐にわたり責任の多い仕事ですがチームが目標を達成した時には、何ものにもかえがたい喜びがあります。
MDDは試合時に中立の立場の医師としてグランドにいるドクターです。アメフト、ラグビーなどのコリジョンスポーツ以外にはあまり馴染みのない仕事かもしれません。
ラグビーという競技の特性上、重症外傷が少なからず起こります。その際にTDのサポートをしたりまた試合中の脳振盪・脳振盪の疑いの判断、止血の確認が主な仕事となります。

ラグビードクターになるには??

ラグビードクターになりたい!と思った時、むしろこのページを見て頂いているあなたは既に半分以上ラグビードクターです。
是非一緒にやりましょう。
具体的には兵庫県ラグビー協会の医務委員に登録してMDDとして各試合会場へ行くというのが1st stepになります。(スクールから惑ラグビーまで各世代の試合があります。)
何もわからないのに試合に行くのは不安?
安心して下さい。兵庫医大整形外科にはなんと18人もの医務委員の先生がいます。最初は誰かについて行って、まず雰囲気を感じて少しずつ仕事を覚えていけば大丈夫です。サポートしまくります!!
TDに興味があれば私たちが帯同する試合に一緒に行きましょう。

必要な資格は??

必要な資格は特にありません。
もし日本代表カテゴリーのドクターを将来的に目指すなら日本スポーツ協会公認スポーツドクターの資格が必要です。
またICIR(Immediate Care In Rugby)というワールドラグビーが行っている講習会があり、ピッチ上における急変時の対応に特化した講習です。テストマッチやトップリーグのMDD、またトップリーグのTDをするためには必要な資格です。

WHY 兵庫医大??

①始めやすい

やっぱり初めて1人でグランドに行くのは心細いですよね。その点、兵庫医大には医務委員の先生がたくさんいますので都合のいい時について行くことができます。MDDの仕事は医務委員会からリストになって送られてきますので都合のいい日を希望していく形になります。仕事の都合、プライベートは重視して下さい。1年間に何日行かないといけないといったノルマもありません。

②チャンスが多い

ラグビーに関わる仕事をしたいけど、どうしたらいいのかわからないという声をよく聞きます。
兵庫医大整形外科では社会人、大学と数チームのTDをしています。
MDDとしての仕事はもちろん、TDがしたい場合にも帯同する機会は多いと思います。
実際、RWC2019では医局から10名以上の先生がピッチで仕事をしました。

③いつかは代表ドクター

医局内に数名の日本代表カテゴリーのドクター経験者がいます。地道に活動を続けているとそのようなチャンスが舞い込んでくるかもしれません。

医師として何らかの形でラグビーに関わりたい!
育ててもらったラグビーに恩返しをしたい!
ピッチサイドという最高の場所で試合をみたい!
またいつかやってくるかもしれないワールドカップの際にピッチで働きたい!
動機は何でもいいと思います。興味がある方は一緒にやりましょう。
もし質問等ありましたら何でもお答えしますので医局にご連絡下さい!!
入局お待ちしております。

サッカードクターへの道

サッカーの中継シーンを思い出してみてください。
躍動する選手たち、ベンチ前から声を出し指示する監督、コーチの姿。
グランド上で、一つのボールを巡って選手同士の交錯、コンタクト、起き上がれない選手。ベンチから飛び出して、倒れたままの選手に駆け寄る男たち。
この男たちが、チームのメディカル(チームドクター、チームトレーナー)です。
医局から依頼を受けて、ここでは、サッカードクターへの道と題して、仕事の内容やサッカードクターになるための手がかりを私の経験や私見を交えて紹介したいと思います。

仕事の内容

私は、2011年よりGAMBA大阪チームドクター、2013年より育成年代の日本代表チームに帯同するドクターをしています。サッカードクターは、大きく分けると、以下の2つに分けることができます。

  • チーム付きのチームドクター
  • 日本サッカー協会帯同ドクタ

チームドクターと協会帯同ドクター(代表ドクター)の仕事は、最終的目標は、Players Firstという立場から、選手をサポートしてピッチに送り出すことですから、大きくは異ならないと思います。しかし、対象となる選手や活動期間が異なることも現実には存在し、ドクターとしての仕事の内容や関わり方も異なってきます。
このページをcheckしている方の多くは整形外科医を目指している方や興味をもっている方だと思いますが、整形外科医として、いわゆる外傷・障害の治療に関わることが大部分を占めていますし、大前提です。しかし、それだけでなくサッカードクターとして、選手のコンディショニングにも関わることも重要です。

サッカードクターの一員として代表活動に従事した際に教わった仕事の内容です。

  • 合宿・遠征の目的を把握
  • ドーピングコントロール
    (FIFAでは1986年~)
  • 環境のチェック
    (気候・食生活事情・宿泊場所・医療事情)
  • 選手の健康管理
    (ヘルスメイト)
  • 帯同報告書の作成
  • 選手の確認
    (所属チームのドクターと連絡)
  • 集合時のmedical check
  • 医薬品の確認など

外傷、障害の治療以外にも、仕事は多岐に及び、それぞれが重要です。病院の病棟や外来における日常の診察業務とは異なる業務や知識が求められます。
また、個人的に重要な事として、あくまで裏方として、選手とスタッフの間で、チームにおけるドクターとしての立場を人として弁える事だと考えます。

サッカードクターになるために

では、サッカードクターになるためには、どうすればよいでしょうか。
チーム付きのチームドクターに関しては、Jリーグの規約が定めています。

Jリーグ規約・第4章第 52 条〔選手の健康管理およびドクター〕

  • (1)Jクラブは、日本国医師免許を保有する専属のドクターを置き、当該Jクラブの責任において選手の健康管理を行わなければならない。
  • (2)前項の健康管理における医学的検査の項目は、協会の医学委員会が定める次のメディカルチェック項目とする。① 内科検査(心電図、心エコー検査含む)② 整形外科的検査③血液検査④尿検査⑤レントゲン検査⑥運動負荷検査⑦体力検査
  • (3)Jクラブは、すべての試合に、ドクターを同行させ、原則としてベンチ入りさせなければならない。

つまり、Jリーグに所属するチームは、カテゴリーに関わらずチームドクターの存在が必須で、いなければ試合ができないのです。そのため、チームはそれぞれ特定のドクターや医療機関と密接な関係にあります。
兵庫医科大学整形外科はGAMBA大阪をJリーグ開幕前の松下電機サッカー部の時代からサポートしています(田中寿一先生)。教室に入局することが、チーム付きのチームドクターになる一つの方法です。

日本サッカー協会帯同ドクターに関してはどうでしょうか。
代表チームは、A代表からU23代表、U20代表、U17代表、フットサル代表、ビーチサッカー代表、女子各カテゴリーと多数あります。サッカー協会の医学委員会で選考されることになりますが、その前に個人で準備、勉強しておく必要があると思います。
スポーツドクターとしての資格は、代表的なものに、

  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本整形外科学会認定スポーツ医
  • 日本スポーツ協会公認スポーツドクター

といったものが挙げられます。これらは全て取得すべきかと考えます。
また、サッカードクター対象にある協会主催のサッカードクターセミナーが2回/年、開催されており、こちらへの出席も必須です。その他にも、各地域で行われるナショナルトレセンでの活動など、現場での活動なども必要でしょう。

『いきなり、そんなこと言われても、、、、現場に出れます?』
『何から、始めたら、、、、?』

興味はあるけど、1歩が踏み出せない方には、兵庫医大整形外科教室はうってつけです。
なぜなら、サッカードクターとして現場に携わる先生が多く存在するからです。つまり、ちょっとした不安や疑問を相談できる先生が側にいるからです。

兵庫医大整形外科教室の同門には、代表ドクターや代表活動に携わった先生がおられますので紹介します。諸先輩方の現場でのこれまでの経験を聞く機会は多く、貴重な時間です。
田中寿一:日本サッカー協会医学委員会、現ガンバ大阪チームドクター・アドバイザー
柳田博美:ザッケローニジャパン日本代表ドクター
戸祭正喜:U17日本代表ドクター世話人、現神戸市サッカー協会理事(医科学委員会委員長)

私のきっかけ

私自身は、サッカードクターになるきっかけは、学生時代から好きだったサッカーに携わりたいという単純な動機からでした。諸先輩方に現場やセミナー、サッカー人の集まりに連れて行って頂き、世界を広げていきました。これは、本当に諸先輩サッカードクターのおかげです。また、活動期間中、日常業務を代行し、応援してくれた周りの先生方には感謝です。学生時代、playが今一だった自分が、まさか一流といわれる選手たちに関わることができるとは思ってもいませんでした。Players Firstという立場から、いかに最善の事が出来るかを考えます。5年、10年と経験を積ませてもらっていますが、今でも帯同前は緊張しますし、活動期間や活動終了後も、自分のjudgeは正解なのか、最善だったのだろうかどうかを考えます。そして重要な事の一つに、サッカーという競技に関わる様々な職種の人たちとの出会いです。これは、かけがえのないもの、私の財産になっています。

これから

2017年、サッカー協会主導のもと、スポーツ救命ライセンス講習会が設立されました。これは、スポーツ現場で起こりえる心肺蘇生法や脳震盪、熱中症などの命にかかわる事象に対する処置を学ぶ講習会です。また、最近では、COVID-19に代表される感染症に関する対策や知識も必要となっています。
サッカードクターとして、必要な知識や周囲の環境は時代とともに変化しています。
嬉しいことに、兵庫医大整形外科教室では、時間の経過とともに現場に出る後輩の先生方も増えてきています。
(榎本雄介:GAMBA大阪専従帯同ドクター、神頭諒、大西慎太郎:GAMBA大阪ドクター、森本将太:ビーチサッカー日本代表ドクター、岩倉亮:GAMBA大阪U23ドクター………)
病院内では得ることができない経験や感情、悩みを共感できる同志が増えています。
はじまりは単純なきっかけで良いと思います。サッカー好きです、という。
私自身が諸先輩方のおかげで得ることのできた経験をぜひ、繋げていってもらいたいです。
サッカードクターとして、一緒に現場に携わり、一緒に学びましょう。

興味のある先生や学生の方はぜひ医局まで連絡を下さい。色々と話しましょう。連絡、待っています。

諸岡孝俊

  • 2011年~ガンバ大阪チームドクター
  • 2013年~U18-U20サッカー日本代表ドクター
  • 2015年~日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)
  • 2018年~U21-U23(東京オリンピック2020)サッカー日本代表ドクター
  • 2020年~ガンバ大阪チーフチームドクター